日本民家園

先日テレビで外国人観光客から注目されている観光スポットが紹介されていて、その中に神奈川県の野外博物館「日本民家園」を案内していました。

「へえ~。近場にまるで昔の日本みたいな風景が見られる場所があるんだな」と興味を覚え、早速行ってみることに。

遠足気分で簡単に行ける距離なのに、全く知らなかった観光スポット。
実際に歩いて見て感じたことを綴っていきます。

日本の原風景が見られる日本民家園

新宿から小田急線に乗り、向ヶ丘遊園駅の南口で下車。
大きな道路沿いに進んで13分ほど歩くと生田緑地が現れます。その敷地内に日本民家園がありました。

入園してすぐの風景

日本民家園とはどんなところ?

入口のすぐそばに切符売り場の建物があり、一般500円。

入場券を購入すると、当日に限り再入園が可能。
切符を購入後、園内へ進むとすぐに昔の宿場町のような風景が広がります。

日本民家園は、急速に消滅しつつある古民家を次の世代にも残せるように1967年に開園した古民家の博物館だそうです。

東日本の様々な地域の古民家を移築して、昔の生活をしのぶことができるように農具や生活用品も置いてあり、道の途中には道祖神や水車など、生田緑地の自然と美しく調和して、昔の面影を感じられるような雰囲気になっていました。

古民家の中には神奈川県の重要文化財に指定された建物もあり、広い敷地の中にいろんな特徴をもつ古民家がいくつもあるので、下調べをせずにふらりと立ち寄ってみただけでも楽しく見て回ることができました。

古民家と自然の木々が調和して美しい
昔の日本へタイムスリップ

地域によって建物が異なる古民家

入園してすぐに宿場町として設置された日本家屋が出てきたのですが、初めのうちはその建物も展示物とは気が付かず、通り過ぎたので入り口付近の古民家は後ほど戻ってきてから、ゆっくりと見学することに。

茅葺の屋根が連なる風景は、日本のどこかの集落に迷い込んだ気分になりました。

正門から入ってすぐの宿場エリアは商家や地主の家など町の古民家。
その奥には「信越の村」、「関東の村」、「東北の村」、「神奈川の村」と各ブロックごとに古民家が設置されています。

各ブロックごとの古民家はすべて見学したのですが、展示されている民家は23件!
実際に巡ってみると、かなり多く展示されていたので、印象に残った一部の古民家について綴っていこうと思います。

信越の村エリアの長閑な景色


信越の村エリアでは古民家に映えるススキが秋の風景を際立たせ、静かな空間に時折響く「かっぽん・・・かっぽん・・。」という鹿威し(ししおどし)の音がとても風情がありました。

信越の村の古民家

また、水車小屋や井戸もあり、古民家の間を通る道の途中には道祖神が点々と置かれて細部までこだわった村の風景を作りだしていました。

信越の村を通り過ぎて、関東の村へ入っていくと、軒が低い大きな屋根の特徴的な古民家が出てきました。

関東の村は甲州民家が特徴的

大きな黒い屋根に腰をかがめないと中に入れない甲州民家、旧広瀬家住宅。
17世紀末ごろにみられた農家で、神奈川県重要指定文化財です。

すっきりと開けた広場に、どんと構えた独特な古民家はまるで村の長の家を訪ねた気分になりました。

軒が低い特徴がおもしろい古民家

腰をかがめないと入れないほど重厚な屋根が目の前に迫る作りはどことなく神秘的。

しっかりした屋根が建物全体を覆い、強風から家を守っている様でした。

1687年に建築された古民家旧北村家住宅

旧北村ケ住宅

さらに進むと、まさに日本昔話のような一軒家がでてきました。
こちらも国指定重要文化財の旧北村家住宅。

案内の看板を見てみると、この建築物は年代がはっきりしていて、柱の先端に墨で「1687年」と年代が記載されており、大工の棟梁の名前まで記されていたそうです。

こちらではお正月風景が施されて、その時代の生活様式がイメージできました。

室内の風景
当時の年末風景が目に浮かぶ

西門の方面にどんどん奥に進んでいくと、少し小高い丘になっていて、木々が茂り、野鳥のさえずりが響いて、山の中を歩いている気分になってきました。

丘の勾配が急になってきて、少し息が切れてきたころに現れたのが船越の舞台。

三重県の漁村にあった歌舞伎舞台です。

ここから正門のほうへ折り返し戻ることにしたのですが、登ってきた丘を下る道の途中で見えた古民家が連なる風景が夕日に照らされて印象的でした。

正門の近くまで戻ってきて、富山県の合掌造りの古民家をぶらぶらと散策。
18世紀ごろの富山県五箇山の奥にあった集落の古民家、旧山田家住宅。

雪囲いがしてあり、豪雪地帯の厳しい冬を耐え忍ぶ工夫がされていました。

富山県、越中五箇山地方の合掌造りの家はいくつか密集して建築されていたので、1つの村の中を散策しているような気分になり、秋の風景がしっくりと馴染んでいました。

商家や武家屋敷で風情豊かな町並

正門の近くまで戻ってくると、行きに見逃していた商家や武家屋敷をゆっくりと見学。

印象的だったのは屋根が板葺きで石が置いてある旧三澤家住宅。
宿場で薬屋を営んでいた商家で、比較してみると山村の農家と造りや雰囲気がだいぶ異なっていました。

旧三澤家住宅
旧三澤家住宅

古民家の室内

すぐ近くには、尾張藩士の武家屋敷入り口部分など19世紀頃の民家が再現されています。
また、奈良の商家の旧井岡家住宅なども当時の町の感じが良く出ていて、軒先から髷を結った町民がひょいと出てきそうな雰囲気。

武家屋敷の門
武家屋敷の門
奈良の商家
町中の古民家は山村部とだいぶ雰囲気が変わる

最後に見学したのは入り口近くにある、旧原家の住宅。
明治時代後期の建物で豪華な2階建て民家。
1階部分の室内は靴を脱いで自由に見学することができました。

いい地主の豪華な建築
豪華な2階建て建築の大地主のお屋敷
室内の雰囲気
室内は畳の広間でガラス窓もたくさん。
今でも通用しそうな外観
屋根の瓦も立派

見学してみた感想は?

本当に広い敷地のなか、わかりやすく、そして当時の雰囲気を大切に保ちながらいろんな地域の古民家が再現できていたので、ふらりとお散歩気分で出かけたつもりが、しっかり旅行した気分になりました。

山間の村にある古民家でも地域ごとに特徴や違いがあり、町の中の古民家とはまたガラリと趣が違うところも面白かったです。

国内旅行とはまたちょっと違うけれども、時代を超えた小旅行をしたような、どこか新しくも懐かしい不思議な気持ちになれる日本民家園。

他の季節に訪れたら、その季節にあった展示になり雰囲気が変わって楽しめそうです。

★紹介した場所

日本民家園
住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7丁目1−1
交通:小田急線 向ケ丘遊園駅南口より徒歩約13分

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