「東京・上野」と言えば上野動物園のパンダやアメ横を連想しますが、夏ならではの見どころは不忍池の蓮の花。
緑の鮮やかな大きな葉の間からのぞく華麗なピンクの花は不忍池の雰囲気を一変させます。
また、蓮の花を見ながら湯島方面に向かうとレトロモダンな旧岩崎邸庭園が出てきます。
旧岩崎邸庭園は、歴史好きのひとはもちろん、そうでない人も繊細で凝ったデザインの内装は館内を見て回るだけでも楽しめます。
たくさん歩き回ったあとは湯島周辺のカフェで休憩すれば、ちょっとした大人の遠足を満喫できます。
目次
蓮の花見は午前中に行くのがベスト
8月上旬頃、蓮の花が満開なところを見に行こうと、上野駅から不忍池へ向かいました。
蓮の花は午後になると花を閉じてしまうので午前中に行くのがベスト。
今回は9:00頃に不忍池に到着。
蓮見デッキからは、池一面に埋め尽くされた蓮の花を、手が届きそうな近い距離で眺めることができます。
葉っぱの間からまっすぐに茎をのばした蓮の花は、予想以上に大きくて華やか。
不忍池辯天堂をバックに蓮を眺める風景は、東京から離れてどこか他の国へ旅行したような気分に。
この不忍池の蓮は江戸時代の浮世絵にも描かれているほど歴史は古いのですが、誰がいつ頃植えたのか、という詳細は不明なんだとか。
一説には琵琶湖に見立てて不忍池を造営した天海僧正と水谷伊勢守が植えたのではないか?と言われているそうです。
詳細が不明でも、現代までこの広大な蓮の花の池が残って、今や都会のオアシスになっていることを思うと昔の人が残していった文化のすばらしさを感じます。
この鮮やかな蓮の花を見ながら湯島方面に進んでいくと、旧岩崎邸庭園の標識が出てきます。
レトロモダンな洋館と技術の詰まった和風建築が見事な重要文化財。
細部までこだわった美しい居室を見て回るだけでも楽しいので、さっそく次のスポットへ向かいました。
紹介した場所
◆不忍池
住所:東京都台東区上野公園5−20
旧岩崎邸庭園の職人技が光る美しい館内を見学
旧岩崎邸庭園の入口から切符売り場までは木々の茂った砂利道を進みます。
木々の間からシャワシャワと蝉の声が響き、町の喧騒が消えていくので、ゆったりと落ち着いた時間が流れていくのを感じます。
入園料は大人(一般)400円。
切符売り場から見える洋館は、まるで外国のお城みたい。
洋館の入口でアルコール消毒をして備え付けのビニール袋に靴を入れて見学開始です。
旧岩崎邸庭園は明治29年に岩崎彌太郎の長男、久彌の本邸として造られました。
三菱第三代社長の邸宅。
洋館と和館のほかビリヤード場の撞球室(どうきゅうしつ)まで建築された贅を極めた建物。
洋館は英国・ロンドン生まれの建築家、ジョサイア・コンドルの設計で明治29年に完成。
17世紀の英国ジャコビアン様式という装飾がされており、細部のいたるところまで館内はエレガント。
職人の丁寧で美しい技術を実際に見るとデザインや色彩の感性が刺激されるかもしれません。
壁紙やマントルピースまで細かく美しい装飾
以前に旧前田家本邸を見学した時も、館内にマントルピース(暖炉の装飾)が配置されていましたが、旧岩崎邸庭園もいくつか館内にマントルピースがありました。
居室の雰囲気によってマントルピースのデザインが異なりますが、いずれにしても細かくて贅沢なつくりになっています。
※旧前田家本邸のブログはこちら↓↓
【東京・散策】歴史ロマンを体験!駒場東大前から前田邸を見学②
洋館夫人客室は落ち着いた色彩でシックな印象ですが、よく見ると工夫がされている設計。
中でも天井は花鳥文様が一面に刺繍された「天井刺繍」は、模様がくっきりと浮かんで見える細かな細工がされています。
また、1Fのサンルームは窓が大きく自然光が明るく室内を照らし、さわやかな雰囲気。
天気の良い日はこの部屋で広大な庭を見ながらお茶をしたり、読書をしておちついた昼下がりを楽しんでいたのかなと思いを巡らせました。
そして、古くから残されている洋館の魅力のひとつは階段エリア。
こちらも重厚なつくりで階段の美しい曲線が印象的でした。
2Fに上がるとイスラム風の繊細なデザインの壁でミントブルーの客室と、ピンクの色彩が基調の婦人客室が淡い色と上品な柄で全体的にかわいらしい。
婦人客室はピンクの可憐な内装に合わせてマントルピースも白で上品なデザイン。
ミントブルーの客室は、照明も繊細でかわいく、現在にこんな内装のホテルがあったら「泊まってみたいホテルランキング」で上位の人気ホテルになりそう。
壁は皮に金を箔押しした技術が施された豪華な装飾。
なお、隣の部屋とコネクティングルームになっています。
ベランダに出てみると、クリーム色の色彩と凝った造りの柵がどこかヨーロッパの宮殿内にいるみたいな気分に。
ベランダの柵も修復はされているものの、デザインは施工当時のまま。
ベランダからは、庭の景色と、その奥には上野の風景が見えます。
上野がいつも人と車で混雑した、にぎやかな町とは違う印象に感じてしまうのは、この優雅なベランダから眺めているからでしょうか。
心落ち着く和館と庭園・・・そしてビリヤード場を見学
洋館から和館に移動すると、趣がガラッと変わり、純和風の畳と障子の居室が出てきました。
パンフレットによると、書院造を基調とした建物で、もともとは、550坪ほどの規模でしたが、現在は冠婚葬祭で使われた大広間がある1棟のみ残っているそうです。
和館の渡り廊下が船を模したデザインの「舟底天井」が美しい。
板戸の「ミミズクの板絵」は当時のまま現存しています!
和室を出ると目の前は広大な芝生の庭園。
夏の日差しが目に染みますが、庭から見た和館や洋館も素敵です。
洋館から少し離れたところに、木造の建築が見えてきました。
こちらもジョサイア・コンドルが設計したビリヤード場、撞球室。
スイスの山小屋をイメージしたデザインで、ウッディな温かみのあるデザインです。
各所に職人技の光る建物を見た後は、帰り道も来た時と同じように木々の緑が生い茂る砂利道を通ります。
やはり木々の間からシャワシャワと蝉の鳴き声が響き渡る中、町の方へと歩みを進めました。
紹介した場所
◆旧岩崎邸庭園
住所:東京都台東区池之端1丁目3-45 · ~5.7 km
見学の後は湯島付近でカフェ
旧岩崎邸庭園を見学した後は、ちょっと甘いものを補給しながら休憩したいところ。
旧岩崎邸庭園の和館にも喫茶室があったのですが、周辺には老舗茶房やモダンなカフェも点在するので、近くのお店でお茶をすることにしました。
旧岩崎邸庭園の最寄り駅は湯島駅。
湯島駅周辺は有名なあんみつ屋さんや、和菓子屋など、和風の甘味処がいっぱい。
また、コーヒーが飲みたい場合は、レトロモダンな喫茶もあり、モーニングから営業しているお店もあるので散策プランによって休憩するところを決めてもよさそうです。
老舗和菓子屋さんのクリームあんみつ
東京メトロ湯島駅から徒歩約1分。まさに駅の目の前にある老舗和菓子屋さん「つる瀬」。
昭和5年創業の老舗の甘味処で、ショーケースにはお団子やかわいらしい和菓子が並びますが、店内には喫茶室があります。
こちらでいただいたのはクリームあんみつ。
歩き疲れた足と、容赦なく夏の日光に照らされた体に、甘くてさわやかなソフトクリームが癒されます。
しっとりした優しい甘みのこしあんと歯切れのよい寒天で急速に疲労が回復してきました。
帰りにショーケースの中からおいしそうなお団子や名物、梅おこわの「むすび梅」などをお土産に購入したくなり、あんみつを食べながら何をいくつ購入しようか、あれこれ考える時間もまた楽しいひと時でした。
紹介した場所
◆つる瀬 本店
住所:〒113-0034 東京都文京区湯島3丁目35−8 コア湯島
交通:東京メトロ千代田線 湯島駅 4番出口より徒歩1分ほど
こだわりのコーヒーと見惚れる季節のケーキ
湯島駅から本郷3丁目方面へ徒歩で8分ほど。
小さくてモダンなカフェ「TIES (タイズ)」。
店内は暗めの照明で、スタイリッシュな店内。
カウンターとテーブル席が3つほどのこじんまりしたカフェ。
人気店で満席になりやすいので、グループ利用は難しいかも。
まずは店頭のショーケースからケーキを選んでから座席に着くというスタイル。
魅力的なケーキの中から「ブルーベリーチーズのタルト」を選択。
座席におちつくと、メニューの中からハウスブレンドコーヒーをオーダーしました。
1杯ずつ丁寧にネルドリップで入れたコーヒーは雑味がなくケーキにもぴったり。
ケーキはブルーベリーがふんだんに使われて、チーズクリームの周りにタワーのように並んでいるのがかわいらしい。
チーズクリームは固めでコクがあり、さわやかな甘みのブルーベリーとよく合いました。
タルトのサクサク食感も好きなタイプ。
ゆっくりと静かにコーヒーの時間を楽しみたい。
そんな落ち着いた気分になるカフェでした。
紹介した場所
◆TIES (タイズ)
住所:〒113-0034 東京都文京区湯島4丁目1−13 倉林ビル
交通:東京メトロ千代田線 湯島駅より徒歩約8分
東京メトロ大江戸線 本郷3丁目駅より徒歩約5分
上野&湯島散策まとめ
上野駅からスタートした散策。
不忍池に広がる鮮やかな蓮の花から始まり、旧岩崎邸庭園のレトロモダンな建築物を見て回ると、普段の上野の街並みが少し異国情緒を感ることができました。
なお、夏の散策は気を付けないといけないのは水分補給。
強い日差しであっという間に汗だくで溶けてしまいそうなほど。
午前中の散策でも日傘&水分は必須でした。
また、カフェや甘味処は今回紹介したお店の他にも老舗や話題のお店がたくさん。
気になるお店はまだまだあるのでいろんなカフェやランチを組み合わせて上野散策はまだまだ楽しめそうです。
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